ITパスポート受験記①(受験決意~当初実力把握)
突然ではあるが、パスポートを取得しようと思い立った。
必要に迫られたわけではないのだが、仕事を進めるうえで役立つ知識が多そうだったので、何等か役に立つだろうと思い、受験することにした。
ちなみに、そもそもなぜ「仕事を進めるうえで役立つ知識が多そう」と思ったかというと、好きなYouTuberさんが10日で取得されていて、その試験内容を説明されていたからである。
たった10日の勉強で国家資格受験してみた - YouTube
また、諸事情により、仕事に繋がる資格であることに加え、試験実施機会が多く、確実に受験ができる(数か月後実施だと受験ができない状態になる可能性が高いため)という条件に適う試験であったことも、決意を後押しした。
※なお、これを書いているのは9月8日(水)
ITパスポートとは
HPにもあるとおり、ITパスポート(iパス)は社会人としての基礎的IT知識を証明できる国家資格である。
iパスは、ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべきITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験です。
具体的には、新しい技術(AI、ビッグデータ、IoT など)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識をはじめ、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識、プロジェクトマネジメントの知識など幅広い分野の総合的知識を問う試験です。
ITを正しく理解し、業務に効果的にITを利活用することのできる“IT力”が身につきます。
合格基準
合格のための条件は2つ。
①総合得点:600/1000点以上。
②分野別得点:3つの分野それぞれ300点以上とること。
3つの分野は、ストラテジ系、マネジメント系、テクノロジ系にわけられる。マネジメント系は大学時代の貯金(経営学専攻)がきくかどうか…。
まずは実力把握
一応仕事でデータは扱う(それにともなうセキュリティ要件なども目を通したことはある)ので、ゼロからの受験ではなさそうだが、まずは現状を把握するために模試を解いてみた。
模試は、以下のサイトに登録して、ひとまず100問、オリジナルの問題を解いた。
結果としては、56/100問正解。ノー勉強では合格にはとどかなそう。
分野別の正答率は以下のとおり。マネジメント系がやや高めだが、有利というほどでもなかった。
ストラテジ :18/35問(51.4%)
テクノロジ :26/45問(57.8%)
マネジメント:12/20問(60.0%)
現状把握をしたところで、さっそく翌日から勉強をはじめることにした。
※試験日は仕事の兼ね合いもあり未定。ひとまず2週間で準備を終える想定で取り組む。
カーボンプライシングの制度作りと導入動向
先日、カーボンプライシングにどんな手法があるのか整理した。
今回はカーボンプライシングについて、足元の動向を調べてみた。
調べる際には、IGES(地球環境戦略研究所)のウェビナー資料を参考にした。
カーボンプライシングの定義(狭義)
二酸化炭素に価格付けすることで、二酸化炭素削減を目指す取り組み。オフセットやインターナルカーボンプライシングは、広義のカーボンプライシングに含まれる。
EUの取り組み(EU-ETS)
7月に削減目標達成のための取り組みを発表。その中にETSの対象を海運、航空、交通・建物に拡大することを含んだ。
インターナルカーボンプライシング(ICP)
世界で約2,000社導入または2年以内に導入予定(CDPによると、853社が導入済み)。例えば、ダノンのICP価格は35€/tCO2(≒1トン当たり4,600円くらいになる計算)。
(出所)Putting a price on carbon - CDP
世界の導入状況
カーボンプライシングの導入を検討しているのは16か国。先進国は日本とオーストリア、それ以外は新興国。新興国で進んでいるのは、世界銀行市場メカニズム準備基金(PMR)プログラムに参加して準備を進めているため。
PMRとは
2011年に設立したプログラム。新興国におけるカーボンプライシングの制度設計、導入支援を目的に創設、2021年で活動を終える。42か国が参加していて、世界のGHG排出の42%をカバー。
Home | Partnership for Market Readiness
なお、2021年2月にはPMRに続く支援としてPMIが成立。カーボンプライシングが準備→実施の段階にあり、そのための支援ニーズも高まっていることが背景。
日本国内での検討状況
環境省と経済産業省で検討が進む。それぞれ論点は異なるが、いずれは協力が必要だろうとのこと。
環境省_中央環境審議会 地球環境部会 カーボンプライシングの活用に関する小委員会
世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会 (METI/経済産業省)
おわりに
ややとっちらかったメモになってしまったが、カーボンプライシングの導入は世銀の支援を背景に、新興国を中心に進んでいるということが意外だった。
ここまでくると、各国の導入動向がきになるので、こちらも調べてみたい。
【読書録】東大白熱ゼミ 国際政治の授業
今回読んだ本は『東大白熱ゼミ 国際政治の授業』。
政治についてちょっと勉強した方がいいなと思い、入門書という位置づけで手に取った(Kindle Ulimited対象)。
概要
目次を見るのが良いと思うが、政治とは何か、ゼミ形式(対話調)で説明が進む。
歴史や外交交渉を例に挙げてくれるのでイメージがつきやすい。
印象に残った点
以下は、メモに残した部分を引用しつつ、思ったことを記載していく。
政治とは何か?
どんなに文明が進歩したところで、すべての人間を満足させることは不可能だと言える。そこで、人間同士の間でお金や地位や名誉に関する対立を調整したり、取り引きしたり、ときには力ずくで闘ったりする営みが必要となってくる。 この営みこそ、「政治」と呼ばれるものだと、僕は考えている。
経済学では金(利益)とか効用が取引の対象になるが、地位や名誉が出てくるのがいかにも政治学だなあと思った。経済が資源の分配と効率的な活用を行う営みであるのに対して、政治はお金や地位、名誉、利害など、数字に表しにくいものや見えにくいものを取引(ときには戦いを伴う)を行うといういみで、別物なんだな。
なお、ロバート・ダールという政治学者は、政治を「権力、ルール、権威を含む関係全般」と捉えたという。権力と権威は似ているが、
「権威」による自発的な服従が難しくなれば、「権力」という強制的な力に頼らざるを得なくなる。
どちらかというと権力の方が乱暴に使われる印象。権威はまとうものだけど、権力は発動させるものという印象を抱いた。
国際政治とは何か?
国内では国ごとに法律やルールがあり(機能しているかは別問題だが)、それに従って統治がなされる。しかし、国際社会に目を向けると、必ずしもすべてのルールを共有しているわけではない。
国内政治がひとつの秩序のもとでの法に基づく政治であるのに対し、国際政治は無秩序のなかでの力による政治である。
国家とは何か?
かの有名なリヴァイアサンについての説明も本書に含まれている。
絶対的な権力である主権を持つ国家しか「暴力の行使」(警察や裁判所による公権力の行使)ができなくなるから、必然的に「万人の万人に対する闘い」は起こらず、平和で安定した秩序が保たれるようになる、というわけだ。
人々は自分の命を守る「自然権」を保護してもらうために、その権利を国家に預け(社会契約)、国家が権利を保障し、人民は国家に服従する関係が望ましいと説いた。ちなみにリヴァイアサンは怪獣の名前で、社会契約によって成立した、絶対的存在である「国家」を象徴している。
ただし、国家が万能なのかというと、実際には杉原千畝さんの「命のビザ」のように、国家と個人と国際社会に矛盾が生じる場面もある。
そこには、個人、国家、国際社会という三者の間の相克が見て取れる。つまり、 国境を越えた地球・人類社会の普遍的な価値と、主権国家の価値や利益の衝突とその間におかれた人間の葛藤
(略)
国家という枠組みを超える普遍的価値の大切さ、すなわち人道的視点に立った正義も決して無視はできないということだ。
安全保障
まず用語の整理から。これは勉強になった。
これ、よく「集団防衛」や「集団的自衛権」と混同されることがあるけれど、外的脅威に対して関係諸国が一致結束して戦う集団的自衛権とは異なって、内部のルール破りや反乱者に対してその他すべての諸国が一致結束して戦うことで平和を維持するのが「集団安全保障」というシステムなんだ。
安全保障において、武器(核兵器など)を相手が持っていた場合、相手の意志(武器を使う意思があるか、攻撃するつもりがあるかなど)と、能力(武器の性能、数)に注目をする必要がある。特に後者は客観的指標として有用。
「意思」は主観的であり、一夜で変わるし、嘘もつける。ところが、「能力」は客観的であり、変化を含め正確に把握することが可能である。 そういう意味で、「安全保障のジレンマ」においては、相手国の「意思」にかかわらず、相手国の「能力」の変化にとりわけ目が向けられるというわけだ。
おわりに
この本を読むと、政治や外交はまさに世界全体で最適な方法を目指して模索中であり、すぐに国際平和が訪れるわけではなさそうだなあと思った。ただ、無理そうでもここであきらめるのはちがうかなという気もした。
この目標を放棄すべきでは決してない。なぜなら、 僕ら人間は、それが実現できるか否かとは関係なく、 それが目指すべき理想である以上、 そのために努力することが人間としての使命だということを知っているからだ。
平和は、できないから目指さないのではなく、できるできないに関係なく追求するものだよなあと思う。
国際政治はプレーヤーの数だけ正義があり、全員が納得する状況作りは難しい。世界を震撼させる危機によって団結するという見方もあるが、新型コロナを経て進んだのはむしろ分断な気もして、平和への収斂は難しそうだなと感じた。
— oαk (@83greentea) 2021年9月7日
東大白熱ゼミ 国際政治の授業 / 小原 雅博 https://t.co/Z61NrMdbBM
カーボンプライシング
最近ホットになりつつあるカーボンプライシング。炭素(排出された二酸化炭素)に価格をつけて市場に流通させることだよね、程度の理解はしていたのだが、その説明を聞いていたらよくわからない部分もあったので調べて整理することにした。
その際、世銀が関連データをオープンデータとして公開しているようだったので、
カーボンプライシングのしくみ
まず、一番大きい枠組みはカーボンプライシングで、
カーボンプライシング自体の説明は省くが、一言で言えば炭素の価格付けであり、これによって二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス(GHG)の排出コストが可視化されることになる。
排出量取引制度
排出権取引(cap-and-trade system)ともいわれるもので、
CAPによって、
炭素税
直接炭素価格を決定(
カーボンプライシングの実施状況
2021年時点で、64のカーボンプライシングが実施済み。
carbonpricingdashboard.worldbank.org
その他のカーボンプライシング
また、上記2つ以外にも、カーボンオフセットや、RBCF、
カーボンオフセット
プロジェクトまたはプログラムベースのGHG削減メカニズム(
この文章をかくきっかけにもなった「よくわからない部分」は、カーボンオフセットとカーボンクレジットの関係。カーボンオフセットのために取引をさせるのが、カーボンクレジットということのよう。つまり
カーボンオフセット→仕組みの名前
カーボンクレジット→仕組みの中で取引されるものの名前
ということらしい。
ちなみに、世銀によれば、カーボンクレジット市場は新型コロナ禍でも拡大していて、2020年は18,664のプロジェクトがあったそう。クレジットの発行数も77と、前年比10%増だった。
さらに、カーボンクレジットの取引はVerraやGold Standardといった第三セクターによるものの存在感が強いようだ。
RBCF
Results-Based Climate-Financeの略。ファンドアプローチ。
※そもそも、RBF(Result-Based Finance)というものがあり、
インターナショナルカーボンプライシング
組織が気候変動の影響、リスク、
まとめ
カーボンプライシングと一口に言っても方法や市場は様々。国際的な取引が可能なものもあれば社内取引されるものもある。
ひとつ気になったのは、世界で画一的な制度はなく、いろいろな国・地域がいろいろな規模間で制度を運営しているようであるということ。取引が活発になったら、このへん淘汰と統合が進んだりするのだろうか。
【読書録】コンビニ人間
読書メーターで常におすすめ上位に表示されるものの、読んでいなかった『コンビニ人間』。
『彼岸花が咲く島』に続き、芥川賞作品を読んだ(タイミング的には「今更」だけど…)。
概要(ネタバレにならない程度に)
36歳未婚、コンビニでアルバイトをしている女性が主人公。いわゆる「普通」になじむことができておらず、周りからすこし距離をお帰れている存在。ただ、本人はそれを悲観的にはとらえておらず、深刻な悩みであるとも思っていないし、なじめないことに焦燥感も抱いていない。それゆえ周りが「普通」はこうするということを真似て場をやり過ごす。
ある日、バイト先のコンビニに新しいアルバイトがやってきた。彼はすぐにバイトを首になるのだが、ひょんなことから主人公と同棲するようになる…。
感想
端的に言うと「普通」が何かを考えさせられる。
私は「普通」から外れすぎないことを望み、「普通」から外れそうになると焦ったり悩んだりするが、それは私に限らずおそらく誰しもあるのでは?むしろ、焦り、悩むのが「普通」の人間なのかもと思う。
他方、主人公はそんなことにすら悩んでおらず、本当に「普通が分からない」様子。ただ、頭が悪いわけではなく、彼女の考え方は論理だてられてはいる。論理的だからこそ、「普通」の考えと彼女の考えは交わることはなく、どこまでもパラレルな関係をなす。厳密には、主人公は周りの人の言葉遣いや反応を真似てはいるのだが、あくまで表面上の真似であって、本当に理解をしているわけではない。
そんな主人公だが、アルバイト先でコンビニ店員として働いている間は「普通」に近い状態になれる。それは、コンビニバイトのマニュアルがたたきこまれているからである。
私はバックルームで見せられた見本のビデオや、トレーナーの見せてくれるお手本の真似をするのが得意だった。今まで、誰も私に、「これが普通の表情で、声の出し方だよ」と教えてくれたことはなかった。
マニュアル通りの話し方、態度に染まることは個性を消すものだと考えられるが、主人公にとっては、変に目立ってしまう個性を隠して、自分を生きやすくしてくれるものだという。
話は戻るが、「普通」でありたいがために自分をいつわったり、思ってもいないことを行ったりすることは誰しもあるのではと思う。例えば、友人6人と話していて自分だけある経験をしたことがないのに、したことがあるように言ってしまったりとか(ちなみに、私は大いにある)。逆に、自分はある経験をしてしまったけれど、それがないかのようにふるまうとか(実はこれ、ここ数年ずっと悩んでいる。ちょっとこの小説の「普通」とは論点ずれる類のものだけど)。
さらに、みんな自分を「普通」にカテゴライズしようとがんばるだけでなく、身内の場合は他人の話まで「普通」に寄せようとする側面があるという。これは、なかなか思っても文字に起こせないので、小説で的確に表現されていることに感動を覚えてしまった。
皆、私が苦しんでいるということを前提に話をどんどん進めている。たとえ本当にそうだとしても、皆が言うようなわかりやすい形の苦悩とは限らないのに、誰もそこまで考えようとはしない。そのほうが自分たちにとってわかりやすいからそういうことにしたい、と言われている気がした。
そして「普通」にあてはめられない人の話は、嘲笑や噂話、あるいは(大げさな言い方をすれば)仲間外の対象になってしまう。それは小説内では直接的には書かれていない者の、たとえば主人公が男性と同棲しているとわかったとたん、周りの人が飲み会にさそってきたり、こちら側の人間として会話にいれてくれたりする描写から伝わってくる(小説そのものを読んでいただいた方が早い)。
まとめ
どちらかというと自分は「普通」からはずれることに羞恥や焦燥感を覚える質だと思う。こんな人間、主人公から見たら「なんでそんなに周りの人から干渉されてるの?」と疑問に思う対象なのかもしれない。
「普通」が何かを考えさせられる。普通から外れないことを望み、焦り、悩むことは誰しもあって、むしろ「普通」なのかも。多分自分は普通の人間で、主人公から見たら「なんで周りの人から干渉されてるの?」と疑問に思う対象かも。
— oαk (@83greentea) 2021年9月4日
コンビニ人間 / 村田 沙耶香 #読書メーター https://t.co/YnSPVWxgTZ
2021年8月の読書録
8月は夏休み期間で時間があったので、たくさんの本を読んだ。仕事関連の本は少なく、小説が多めだった。
印象に残った本は以下のとおり。
- 万城目学『ヒトコブラクダ層ぜっと』
もはや定番の、タイトルから全く内容が創造がつかない小説。上下巻合わせて900ページ越えの長編だったので、仕事が落ち着いた8月にじっくり読んだ。
- 進士素丸『文豪どうかしてる逸話集』
とても読みやすく、文豪の常人離れしたエピソードを知ることができる。『人間失格』や『檀流クッキング』を読むきっかけにもなった。 - 世阿弥『風姿花伝』
現代語訳の力もあるが、いまの生活でも大いに役立つ考え、名言がおおく、丹戸も読み返したいと思った。この本をきっかけに、能や落語の本も読むことにつながった。
8月の読書メーター
読んだ本の数:22
読んだページ数:5540
ナイス数:133
絶滅の人類史―なぜ「私たち」が生き延びたのか (NHK出版新書)の感想
ホモ・サピエンスはネアンデルタール人を駆逐したわけではなく、一緒に生存していたタイミングがあり、交配もしていた。ただ、子孫を残す力が強かったのか、寒さへの耐性からか、食料調達能力の差からか、我々だけが生き残り、ネアンデルタール人は絶滅してしまった、ということが書かれている。考古学の難しい解説が苦手な人におすすめかな。『我々はなぜ我々だけなのか』という本にはさらに細かく、考古学的証拠を元に説明があるので、もっと深掘りしたい人はそちらを読むとよいかも(ちなみに両者とも主張は似ている)。
読了日:08月31日 著者:更科 功
言い寄る (講談社文庫)の感想
最初は主人公の行動に共感できなかった。けれど、大切な人をこういう形で失うと、どういう気持ちになるのか、丁寧に描写されていることもあり、ここ大いに共感。主人公の片想いのお相手、くっつくならとっくにそうなってるんだよなあ…くっつかないってことはアウトオブ眼中なわけで…って他人事なら冷静に書けるんだけど、自分のことになったら、そうはいかないのだろうなあ。脈なしなのにその判断がつかなくなるという意味で、恋は盲目ってこういうことか〜と苦い気持ちにさせられる。しかもこの話、続くんだ…。
読了日:08月30日 著者:田辺 聖子
ガール (講談社文庫)の感想
30過ぎの働く女性が主人公。どの人も、少しずつ価値観やタイプは違うのだけど、共感の嵐。何かにつけて仕事とプライベートを天秤に乗せがち。前半は苦しくて共感できる展開が続くのだけど、最後には救いの気づきや叫びがあって、ほっとする。どんな道を選んでも、違う道があったんじゃないかと思ってしまうし「人生の半分はブルー」。媚びを売らない、男の後ろに一歩さがる立場を嫌う仕事スタイルでも、それが偽りのない自分ならいいじゃん!と明るい気持ちになれた。余談だけど、これを書いている奥田さんて男性なんですね…凄い。
読了日:08月29日 著者:奥田 英朗
教養として学んでおきたい落語 (マイナビ新書)の感想
Kindleにおすすめされた(恐らく風姿花伝→能・狂言→落語という繋がり)ので読んでみた。寄席は演者のリレーみたいなもので、みんなお後にバトンをパスしていくというのは、言われてみればそうだけど、全く気づかなかった。能・狂言に比べて一層肩肘張らずに気楽に聞けるのが落語で、必要なのは『眠くならないだけの元気」だけとのこと。たしかに長丁場なので大事かも。著者は「落語の本はほんと無駄に出てますね」といってたが、読了後、著者による落語解説書が一気におすすめに登場。無駄とは言わないけど、本当に沢山あった笑
読了日:08月28日 著者:堀井憲一郎
【Amazon.co.jp限定】教養として学んでおきたい能・狂言(特典PDF「特別付録 著者おすすめ能楽」付き) (マイナビ新書)の感想
世阿弥『風姿花伝』を読み、能に興味を持ったので読んでみた。もともと母親が能や狂言が好きで話を聞く機会が多かったこともあり、すんなり読めた。狂言は何度か見たことがあるが、その時はただストーリーが面白いなくらいにしか思わなかったと後悔。この本を読むと内容だけでなく表現や台詞にも面白さが散りばめられていたことがわかる。それから、能は、最先端テクノロジーではなく、そのテクノロジーを生み出す人間の叡智「想像力」を使って見るものだというのは面白い考え方だった。機会があれば、能と狂言を見に行きたいなあと思った。
読了日:08月27日 著者:葛西聖司
武器としての書く技術の感想
個人的に重要だと思ったのは、情報がどんどん移り変わる時代の「書く」行為には、スピード感が大切であること、そしてブログを書く時くらいは「和をもって尊しとなす」は横に置いて、意見を主張すること。後者は、あえて断定的な表現を避けたり、過度なクッション言葉をおいたりせず、思いをクリアに伝えることが大事という。たしかに日々の仕事って、リスクヘッジも兼ねて断定的な表現を避けるきらいがあるので、その悪い癖を身につけないようにするのにも良いかも。お金の話もあって、夢よりも努力の重要性を見せてくれる本だった。
読了日:08月26日 著者:イケダ ハヤト
青い月の夜、もう一度彼女に恋をする (双葉文庫)の感想
諸用で京都を通過だけする機会があり、なんとなく京都が舞台の本が読みたくなって手に取った。あくまで京都は背景で、京の魔物がナントカみたいな話ではないのだけど、描写が素敵だった。でもなんか読んでていずかったというか、直前に読んだ小説とのギャップで軽く読めちゃった感覚。お婆ちゃんの、トマトの話は印象深くて、しんどくなったら思い出したい考え方。
読了日:08月25日 著者:広瀬 未衣
ちいさな幸福 <All Small Things> (講談社文庫)の感想
どんどん主人公が変わるが、途中で「この名前…!」と思う展開がくる。同じ時間を共有しているのに、二人の感じ方は絶妙に違う。十円玉に似た話は自分も経験ある。自分は五十円玉に救われたのだけど。
読了日:08月25日 著者:角田 光代
現代語訳 風姿花伝の感想
能が題材ではあるものの、良い意味で普遍的で、現代の仕事や人間関係への示唆も含む内容。怠慢や奢りを戒めて励むことが大事なのだと思った。実は先月、別の現代語訳を読んで挫折していた本だったのだが、こちらは現代語訳がわかりやすく、元々そこまで長くない本だったこともありすんなり読めた。何度も読み直したい。
読了日:08月24日 著者:世阿弥
MOGUMOGU食べ歩きくま(3) (ワイドKC)の感想
熱が出て「食べ歩かないくま」ちゃんだったのに、結構ガッツリご飯食べていて、思わず笑ってしまった。1巻から「どれも美味しそうだなあ」と思って読んでたけど、これでシリーズ終わってしまうのが寂しいなあ〜。コロナおさまったら、紹介されているお店に行きたい(くまちゃんほど辛いものは食べられないけれど…)。
読了日:08月23日 著者:ナガノ
人間失格(角川文庫)の感想
Quiz Knock読書会の課題図書。この歳になってもまだ読み通したことがなかったのだが、これは読書会でも言われていた通り、「本気の読書会」に相応しい難度…。難しいからこそ一人ではなく読書会する意味があるんだというのは納得。本書で唯一わからなかったのは、葉蔵が自信が犯された罪を訴えなかったのは人間不信ではなく何だったのかということ。人間が葉蔵に対する信頼の殻を閉じていたとは、周りが自分を信じていなかったということなのかな?そして、最も衝撃だったのは最後の一文。葉蔵がそんな年齢だとは思わなかったよ。
読了日:08月23日 著者:太宰治
檀流クッキング (中公文庫BIBLIO)の感想
別の本からの流入で読了。繊細な檀流クッキングのレシピが記載されているかと思いきや、「鶏肉にたくさん酒をかける。たくさんというのは、浴びるほどということだ」など、大胆な部分もあり面白い。自分の苦手な臓物レシピ多めだが、これを読むとまたトライしてみようかなという気持ちも僅かに湧いてくる。臓物以外のレシピもあり、久々に手の込んだ料理やってみたいなと思わせてくれる本。
読了日:08月20日 著者:檀 一雄
美貌のひと 歴史に名を刻んだ顔 (PHP新書)の感想
美貌や美貌を描いた裏にあるドラマは悲劇や喜劇、どん底からの這い上がりだったり、煌びやかに見えて身分差別に苦しめられた生涯だったりとさまざま。背景や描かれている小物から国や身分まで考察できるのは面白い。絵の中の小物って、綺麗だなあとか、美味しそうだなあとかくらいしか感想を抱いていなかったけど、商人階級の紅茶の飲み方が描写されている絵があって奥が深いなあと思った。
読了日:08月15日 著者:中野 京子
名画で読み解く プロイセン王家12の物語 (光文社新書)の感想
名画を見ると、歓喜の中に悲しみがあったり、実は時間軸をあえてずらした描写があったりしておもしろい。それにしても、プロイセンの歴代王、名前ややこしすぎ(世界史で苦しめられた記憶が蘇る)笑。
読了日:08月15日 著者:中野 京子
円のゆくえを問いなおす―実証的・歴史的にみた日本経済 (ちくま新書)の感想
為替の説明を任されて資料を作っていた時に見つけた本。読み終えるより先に締め切りが来てしまったが、あと1ヶ月早く見つけていたらよかったと思うくらいわかりやすかった。よく、海外直投増加の背景として円高を挙げるけど、実際は一要因で動くもんではなく、交易条件も考えないといかんなあと思った(来年用の資料に加筆しとこ)。
読了日:08月14日 著者:片岡 剛士
ヒトコブラクダ層ぜっと(下)の感想
下巻ではまず「ぜっと」の意味が明らかになる。謎の女イナンナは全てを見越していたようで実は大きな賭けだった。イナンナは妹を救うべく、偶然25年前に出会っていた三兄弟が選ぶ。ミッション(=妹を救う)の中で銀亀さんの意外なバックグラウンドや、実は最初にミッションをふっかけられたのは梵地であることが明らかになる。 万城目せんせの、奇想天外といいつつ、みっちり調べられている歴史的背景には脱帽。史実とファンタジーを継ぎ目なく合体させるスタイルは健在。読み終えて満足感だが、初読のワクワク感が終わってちょっと寂しい。
読了日:08月13日 著者:万城目 学
愛がなんだ (角川文庫)の感想
テルコ…絶対その恋愛やめた方がいいよ…と思いながら読むのだけど、自分がテルコを諭せる立場にいるのかというと、そうとも言えず、むしろテルコみたいになってしまう自分がいることも否定できない。誰しもそうなんじゃないかなあ?恋愛に溺れるテルコと、それをバッサリ否定する葉子、考えの全く違う人間を登場させられるところは、さすが小説家さん…と思った。
読了日:08月08日 著者:角田 光代
お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力・・・・・・はこう「動いた」の感想
『マネーの世界史』を読んでいるのだがいまいち理解が進まず、一旦難度を下げた類似本を読もうと思い手に取った。徴税担当がマージンを得られるようなシステムは崩壊すること、ブレトン・ウッズ体制の矛盾などなど、丁寧に説明されている。いわゆる世界史の教科書で読む戦争が起こった理由というのは後付けまたは表面的なものもあり、実際は本書にあるような富や経済力をめぐる争いが火種になっていることが多いのだなあと思った。
読了日:08月07日 著者:大村 大次郎
あなたの知らない栃木県の歴史 (歴史新書)の感想
東照宮って、東の天照(アマテラス)として西に対抗したい意図を持った名称だったのか…。
読了日:08月06日 著者:
文豪どうかしてる逸話集の感想
著者による3行程度の名作紹介が個人的には面白かった。いい意味でゆる〜く、内容が紹介されていて、例えば檀一雄の『檀流クッキング』は読んでみたいなあと思った。 この本で紹介されている文豪が、もれなくお金の使い方が女性関係に問題ありで、素晴らしい作品を描く人が、模範的な生活をしているとも限らないし、そうである必要もないんだなと思った。ただ、そうは言っても宿代が払えない太宰治に、人質として置いていかれた檀一雄は可哀想。「走れよ、太宰」と思った。
読了日:08月04日 著者:進士 素丸
さよなら私 (角川文庫)の感想
自分探しというけれども、そもそもそんな探すべき自分はないのでは?というような「無の自覚」を説く前半部分から、後半は一気に俗な内容になった笑
読了日:08月04日 著者:みうら じゅん
ヒトコブラクダ層ぜっと(上)の感想
歴史モチーフの作品であっても、これまでと違い舞台はほぼイラク。主人公の三つ子は特殊な能力を持つものの、いい意味でその使用は最低限になっていて(銀亀さんがいるからかな?)リアリティと非リアリティのバランスが絶妙。そういえば、三兄弟の名前が素敵すぎる、これも何かの伏線なのか、万城目せんせのセンスなのか…イナンナの正体と目的含め、まだまだ回収されていないフラグがたくさんあるので、下巻も楽しみ。
読了日:08月04日 著者:万城目 学
読書メーター
【読書録】26文字のラブレター
今回読んだ本は『26文字のラブレター』。
ラブレターといいつつも、内容は相手に告白する手紙とは限らず、恋がテーマの都々逸が紹介されている。
概要
「都々逸」とは、7,7,7,5の26文字からなる言葉。
都々逸という名詞を知らなくても、「ざんぎり頭を叩いてみれば文明開花の音がする」や「恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」を聞いたことがある人は多いのでは。独特のリズム感に加え、実は韻を踏んでいたり、掛詞があったりと、ことば遊びのようでおもしろい。
ちなみに「恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」は詠み人知らずであるということに個人的に驚いた。
ちなみに完全に余談だが、この都々逸を知ったのは以下の動画。
東大生の恋愛偏差値は?リア王~恋愛知識No.1決定戦~ - YouTube
感想
言葉遊びの要素があると感じたのは、「澄んできこえる待つ夜の鐘はこんと鳴るのがにくらしい」というもの、この「こん」は擬音語でもあり「来ん(=来ない)」にも聞こえるというのが面白い。
それから「君は吉野の千本桜 色香よけれどきが多い」という都々逸。この「き」は木と気をかけているようで、いかにも言葉遊びといった感じ(だから、あえてひらがなになっているのもいい)。
おもしろさ抜きで、個人的に好きだと思ったのは
「惚れてこがれた甲斐ない今宵 会えばくだらぬことばかり」
という都々逸(詠み人知らず)。わかりみいが深い…。
相手を想う夜、悲しみに耽る夜など、いろいろな場面で詠まれた都々逸が収録されているが、どれも語呂良く、素敵なものばかりだった。
「ざんぎり頭を叩いてみれば文明開花の音がする」は聞いたことがあったけど、これを都々逸(どどいつ)ということは知らなかった。独特のリズム感があって、実は韻を踏んでいたり、掛詞になっていたり、ことば遊びみたいで面白い。
— oαk (@83greentea) 2021年9月3日
26文字のラブレター / #読書メーター https://t.co/Xe9cwr5s71