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【読書録】言い寄る

 

今回読んだ本は『言い寄る』

bookmeter.com

もう10年ほどまえに出た本なのだが、そこまで時代のギャップを感じずに読めてしまった。たしかに、SNSでのメッセージ交換は出てこないけれど、この世代で、わざわざSNSを使わなくても、会って連絡を取れる距離感の人たちならば、不自然のないやり取り。

読んだきっかけ

いつもながらKindleのレコメンドで受動的に本の存在を知った。最近、しょっぱめ(?)の恋愛小説を読むことが多いので、おそらくそれに基づいた提案だったのかも。

これまで、ハラハラするのが嫌なので、恋愛小説や青春もの(恋愛要素なくても)はあまり読んでこなかった。ただ、最近読み始めると、自分が経験しても言葉にできない感情が、小説では文字に起こされて表現されていることに気付いた。それに感動し、最近この分野の本を読み漁っている(同じ理由で、有名どころの文学作品も最近よく読んでいる)。

概要(ネタバレあり)

フリーデザイナーが主人公の恋愛ストーリー。主人公はいわゆる軸を持った自立した女性と周りから見られている印象。親友の、ちょっとぬけているところがある女性のために、一緒になって面倒に足を突っ込む優しさもある。

そんな主人公には片思いの相手がいるのだが、友達以上恋人未満の関係で、関係が進展しない。ただ、もてないわけではなく、ゴリゴリ系の男や、大人の余裕をもつオジサマと知り合い以上恋人未満の関係になったりもしている。もてないわけではないのに、意中の相手からは好かれない、もどかしい恋愛模様

ラスト、意中の男性は、予期せぬ形で親友のものとなる。しかも、意中の男性が主人公を全く意識していなかったことまで明らかになる。主人公が「自立したしっかりした女性」であることが、相手の琴線に触れなかったようだ。

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感想

前半は、主人公の行動も、親友の行動も、登場する男たちの行動もまったく理解できなかった。こんなに恋愛中心の人いるの?みたいな気分で読んでいた。

ただ、行動は理解できずとも、その際に主人公が感じる戸惑いや焦りには共感ができて、ついつい最後まで読んでしまった。

ネタバレになるので別の例を挙げるが、たとえば、親友が自分の片思いの相手に「偽装恋人」になってくれと依頼をすると聞いたら、どんな気分になるだろうか…。私なら全力で阻止したいし(意外とフィーリングあってしまってそのまま付き合っちゃうかもしれないじゃん!)、慌てる(そんなことするなよ、とか別の人を探せよ、という!)。この場面での主人公の焦りぶりにはとても共感できた。同じ経験があるわけではないのだけれど笑

それから、主人公と親友の性格(というかタイプ?)が異なっていることもみそだなと思った。主人公はどちらかというと自立した姉さんタイプ。いわゆるほっといても大丈夫だよねと勝手に思われがちな人。他方、親友は周りの人から心配や思いやりをかけられるタイプ。

自分はどちらかというと主人公よりの評価をされることが多いので、主人公が親友に抱く思いがよくわかる。

つまり、彼女は、こうやってわァわァ泣きわめいて、たくさんの人に慰められ、五郎に同情され、彼の心を傷つけることのできる人間なのだ。
生きたいように生きることのできる、うらやましい人生なのだ。
私の目に浮かんだ涙は、うらやましさ、自己憐愍というようなものでもあるのだ。

素直にないたり、悲しいって言ったり、辛いって言ったりできる人、本当にうらやましい。主人公もそうだけど、こういうところで「周りに心配かけないようにしっかりしなくちゃ」みたいなタイプって、本当に心配をかけず、そのままほっとかれることが多い(実社会でもそうだと思っている)。もちろん、そういう者同士は分かり合えたりもするのかもしれないけれど。

私がセッセと一生けんめい生きてるのに、誰も何ともいってくれない、私は美々みたいに泣きわめいたり地団太ふんだりできない性格なのだ、みんなそれをいいことにしてるんだ、と思い、ひがんでいたのを、兄さんが、はじめて「あたまを撫でて」くれたのだった。

しかも、最終的に主人公の思い人がとられる(というか、思い人みずから親友を選ぶ)理由がこの性格のちがいというのがなんとも残酷。思い人は、守ってあげたくなる女性が好きだったみたい。つまり、主人公はこの性格のせいで損した…ともいえる。つらい。

むすび

行動ではなく、気持ちの部分で主人公に大いに共感してしまう小説だった。主人公のような人たちが、同じような苦悩を味わわずに済み、素敵な恋愛(に限らず、仕事や人間関係も)ができるといいなあと思った。