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【読書録】ヒトコブラクダ層ぜっと

万城目先生4年ぶりの新作とのことで、さっそく購入。上下巻合わせて900ページ越えというボリューム感。通勤や移動時間をつかって毎日ちょっとずつ読んだ。

発売前にホームページを見て、舞台はイラク、銀行泥棒の3兄弟…という断片的な情報は手にしていたものの、実際読んでみると予想の斜め上を行く奇想天外ストーリーだった。

bookmeter.com

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読んだきっかけ

もともと万城目先生の作品は読んでいたので、万城目先生のTwitterにて、新刊の存在を知り、今回もぜひ購入しようと思っていた。

しかし、そのページ数に圧倒され発売日当日になっても迷って購入できず、数日経過…。迷ったが、夏休みもあるし、本読む時間くらいできるだろうと腹をくくって上下巻購入。それなりのボリュームはあったが、あっという間に読み終えてしまった。

概要

あまり書くとネタバレになるので、上巻を中心に概要を紹介する。

日本の某所に住む榎土三兄弟は、それぞれ特殊な能力を持っていたが、これまで誰にもそれを明かさずに生きてきた。三兄弟の両親は既に亡く、一家の大黒柱を担っていたのは長男の梵天だった。

ある日、とあるきっかけで三人はお互いの能力を知ることになる。そして、3人で「力」を合わせて長男の夢を叶えるため行動に出る(ここまでは、舞台は日本)。その後、三人はいろいろなことに巻き込まれ、部隊が海外へ移動…。

ちなみに、タイトルの「ヒトコブラクダ層ぜっと」の意味が完全に明らかになるまで、かなりのページ数を要する。ぜひそれまでがんばって読んでほしい(頑張らなくても読めちゃう人もいると思うけど)。

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感想

奇想天外なストーリーなのに、考古学や歴史学の視点からしっかり根拠のうらうちがされていて、まるで本当のお話のような臨場感をもって読むことができると感じた。これだけの情報を盛り込むのに、どれほどの文献調査や取材を行ったんだろう…と思ってしまう。考古学や歴史学、それから化石に興味がある人は楽しんで読めるのでは。

物語は三兄弟の誰かの視点で進むが、読み終えてみると、長男の梵天の視点で語られる部分が多かった気がする。三人のイラストやイメージ写真はないのだが、なんとなく梵天が一番ごつくて強面なんだろうなと想像しながら読んだ。弟思いでありつつも、大好きなことを目の前にすると我を忘れるほどのめりこむ梵天の情熱を原動力に、物語は進んで(それを利用されて進められて)いく…と思いきや、実は次男の梵地もアクセルをふみまくっていたのでは...。三男梵人は、兄弟の中ではある意味一番悩める男だった印象。梵人が望んだものは、下巻半ばで手に入ったかと思ったが、実はそうではなかったのではと最後に思わされる。

そして、三兄弟を翻弄するのが、謎の女(名前は本の中で明らかになる)。すべてを先回りして見越している気持ち悪さがある。万城目先生の作品には、必ずと言っていいほど、カギとなるものや成されることを「知っている」人物がいて、大抵主人公はその人物の意図や考えが読めず、(読者と一緒に)翻弄される。例にもれず、今回の本も、三兄弟と一緒に翻弄されながら読み進めた。

とにかく、設定から、ストーリーから、不思議ワールドの種明かしまで、すべてが奇想天外で、予想を超えてくる面白さ。回収されるフラグはどれだろうなんて、探りながら読んだところで回収はできないので、そんなところに目をつけるよりも、どっぷり「万城目ワールド」に浸って、三兄弟(と、銀亀さん)と一緒に戸惑い、戦い、自分の「望み」が何なのか考えて読むと面白いのではと思う。

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タイトルから全く内容が連想できない(さすが万城目先生…)。Kindleで上下巻そろえた。

結び

人と動物の境界がゆがむお話しや、特殊能力をもつ人間の話はこれまでもあったが、今回はこの能力をもって、この境界線のゆがみに落ちていったのか…と思わされた。

個人的には、「ぜっと」の意味が明らかになったところがいちばんすっきりした。ヒトコブラクダ層ぜっとって、このことだったのかあと。

凡人の言葉では、この奇想天外なお話は説明しきれないので、興味のある方は、900頁超えだろうが何だろうが、とにかく読むのが一番手っ取り早いと思う。