カーボンプライシングの制度作りと導入動向
先日、カーボンプライシングにどんな手法があるのか整理した。
今回はカーボンプライシングについて、足元の動向を調べてみた。
調べる際には、IGES(地球環境戦略研究所)のウェビナー資料を参考にした。
カーボンプライシングの定義(狭義)
二酸化炭素に価格付けすることで、二酸化炭素削減を目指す取り組み。オフセットやインターナルカーボンプライシングは、広義のカーボンプライシングに含まれる。
EUの取り組み(EU-ETS)
7月に削減目標達成のための取り組みを発表。その中にETSの対象を海運、航空、交通・建物に拡大することを含んだ。
インターナルカーボンプライシング(ICP)
世界で約2,000社導入または2年以内に導入予定(CDPによると、853社が導入済み)。例えば、ダノンのICP価格は35€/tCO2(≒1トン当たり4,600円くらいになる計算)。
(出所)Putting a price on carbon - CDP
世界の導入状況
カーボンプライシングの導入を検討しているのは16か国。先進国は日本とオーストリア、それ以外は新興国。新興国で進んでいるのは、世界銀行市場メカニズム準備基金(PMR)プログラムに参加して準備を進めているため。
PMRとは
2011年に設立したプログラム。新興国におけるカーボンプライシングの制度設計、導入支援を目的に創設、2021年で活動を終える。42か国が参加していて、世界のGHG排出の42%をカバー。
Home | Partnership for Market Readiness
なお、2021年2月にはPMRに続く支援としてPMIが成立。カーボンプライシングが準備→実施の段階にあり、そのための支援ニーズも高まっていることが背景。
日本国内での検討状況
環境省と経済産業省で検討が進む。それぞれ論点は異なるが、いずれは協力が必要だろうとのこと。
環境省_中央環境審議会 地球環境部会 カーボンプライシングの活用に関する小委員会
世界全体でのカーボンニュートラル実現のための経済的手法等のあり方に関する研究会 (METI/経済産業省)
おわりに
ややとっちらかったメモになってしまったが、カーボンプライシングの導入は世銀の支援を背景に、新興国を中心に進んでいるということが意外だった。
ここまでくると、各国の導入動向がきになるので、こちらも調べてみたい。