読書録~看書便條~

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【読書録】教養として学んでおきたい落語

今回読んだ本は、『教養として学んでおきたい落語』。

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この本を読んだきっかけ

端的に言うと、Kindleにおすすめされたことと、あまり詳しくない分野だけど簡単に読めそうだったことがきっかけ。おそらく、『風姿花伝』→『教養として学んでおきたい能・狂言』を読んだので、Kindleが「ならばあなたはきっとこの本もお好きでしょう?」と勧めてくれたのだと思っています(能・狂言の本と出版社が同じというのもあったかも)。

mang2guo3.hatenablog.com

概要

全体的に、ゆるく、適度に主観を交えて落語の楽しみ方と、落語家(有名どころと、真打までの道のり)、落語の歴史などを解説している。

このくらいゆるくてかみ砕いた解説だと、自分のようなド素人も、楽しみながら本を読み進められるのでありがたい。

感想

落語と言えば「笑点」という世代(?)なので、落語家さんがお題に対するおもしろい返しをするイメージを持っていた。ただ、本書を読むと、そうとも限らず、5~10分の(ものによってはもっと長いものもある)噺をするのが落語なのだと知ることができた。知るというより、イメージを矯正できた、という方が適切か。笑点だけをイメージしながら読むと、本の内容に対して違和感を抱いたり、状況が想像できないことも出てくるかもしれない。

自分の場合は、一度だけ寄席にいったことがあったため(誘ってくれた友人には感謝!おそらく一人では行けなかった)、見た会場の様子や、落語、さらにはその合間に行われる手品や紙切りなどが思い出され、「あのときのあれは、これだったのか」とイメージしながら思いながら読み進めることができた。

筆者も言うように、難しいこと考えず気楽に聞けるのが落語の良さ(というか、落語はそういうもん)なので、まったく落語知らないけど興味あるわあ~という場合は、いきなり寄席に行って、いちど落語をじかに見てからこの本を読んでもいいかもしれない。

落語は娯楽である。消費するものだ。

(略)

そもそも落語はあまり「鑑賞」するというようなものではない。

(略)

寄席は日常生活の中にあるものなのだ。気取っていくところではない。

なお、はじめての寄席は一人では行きにくい(本書の中で筆者もその点言及している)が、以下のことだけやらかさなければ大丈夫とのこと。曰く

  • 弁当(=目で見て楽しむ食べ物)は持ち込まない
  • お酒は飲まない(そもそも場内禁酒の場合も多い)
  • 音を立てない(いびきなんぞご法度。あと、ビニール袋の音とか)
  • 初心者であれば、拍手は落語家が出てきた時と一席終わったときすればよい(他人につられて噺の途中で拍手しなくてよろしい)。

などに気を付ければいいそうだ。ちなみに、上述にも関連なくはないのだが、落語を見るうえで必要な事前準備があるとしたら

ライブで落語を聞くために必要なものはと聞かれたら、答えはひとつ。 「2時間から3時間、じっと座って黙って人の話を聞いていても眠くならないだけの元気」  それだけ

だそうな。シンプルでいい(笑)

結び

能・狂言についての本を読んだ後に、本書を読んだので、その違いがよく分かった気がする。能・狂言はどちらかというと「気取って」行く場所(というか、そもそも成り立ちがことなる)で、落語は一層肩肘張らずに気楽に聞けるものなのだと思った。

ちなみに、著者は本書の中で「落語の本はほんと無駄に出てますね」と書いてたが、読了後、著者による落語解説書が一気にKindleのおすすめに登場。本当に沢山あった。