読書録~看書便條~

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【読書録】太宰治『人間失格』

「読まなければよかった」

と、高校の部活の先輩が『人間失格』の読書感想文に書いていた。なぜ他人の読書感想文の内容を知っていたのかというと、先輩の読書感想文が校内最優秀賞(か何か、またはそれに相当する評価)を受け、全文が校内の定期刊行物に掲載され、それを読んだからであった。

高1だった私は、作品名は知っていたものの、当時そこまで読書をしていなかったことと、そんなに後悔するような内容なら読まなくてもいいかと思い、結局『人間失格』を読むことなく、高校、大学を卒業し、社会人になってしまった。

 

そんな本をなぜ今になって読もうと思ったのかというと、Quiz Knockさん(コロナ禍ではまったYouTubeチャンネル)の読書会でこの本を取り上げていると知ったからであった。

www.youtube.com

動画内でも言及されていた通り、ちょっとハードル高いなと思っている本ほど、誰かと読んだり、感想を言い合ったりするのがよいと思い、これを機に読んでみることにした(事後的に知ったので、リアタイではないが)。

 

感想

 今回読んだものはこちら。

人間失格 (角川文庫) | 太宰 治, 梅 佳代 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

Kinde Unlimitedの対象になっていたため、こちらのバージョンを読んだ。

個人の感想

途中まで主人公に共感できる部分もありつつ、そこまで道化になれない自分もいるので、読みながら自分を見つめている気分にも、著者を客観視している気分にもなる。

いわゆる忖度とか、何も思わなくても相手に賛同の意を示すなど、そういうふるまいはするけれども、あえて面白いことをやってやろう(ノートに「シシマイ」と書き込むなど)をする度胸はないなあ…。自分のプライドが高いだけなんだろうか笑

また、悪友(?)堀木との話が「第二の手記」で登場するのだが、堀木は(当時の情勢では)アウトローなことをしつつも、結局は内と外で自分を演じ分けている、いわゆる葉蔵が理解できないと「第一の手記」でいっていた人間だった。しかも、一度警察にお世話になった葉蔵をそういう目で見つめていたことを暗に伝える。葉蔵は堀木を親友とは思っていなかっただろうが、それなりにお互い理解しているとは思っていたはずで、そんな相手から「罪人」と思われていたことに衝撃を受けたのではないかなあと思った。例えて言うなら、「私とあの子は何でも話せる、気の置けない友人」と思っていたのに、相手から「あなたの家が金持ちだからつるんでるだけだよ」みたいな、自分そのものではなくて身分・肩書・バックグラウンドを見られていたと気づかされる衝撃みたいな…?

そして、タイトルにもなっている『人間失格』は、罪人ではなく、狂人、廃人として病院に送り込まれた=失格ということだったのかあと思った。なんとなく、人としてやってはならない罪を犯したから失格なのかと思っていたので、予想外だった。

さらに、それ以上に予想外だったのは、人間失格となったときの葉蔵の年齢。自分とほぼ変わらん…。勝手に40代くらいの人の話だと思って、「え、ヨシ子と何歳差!?」と驚愕したが、実際はそこまで年齢は離れていなかったのか…。

この本を友達に紹介するなら?

Quiz Knockの企画にあったこの質問。『人間失格』を人におすすめしたいかと問われると、相手を選ぶ…笑

ピュアな人ほどこの内容きついだろうなあと思うし、根っからの「陽キャ」といわれる方には共感できない部分の方が多いかも。しいて言えば、有名な文学作品だからといって、内容(文章そのものや構成ではなく、ストーリー)が道徳的お手本となるようなものとは限らない、というのをよくよく知らしめてくれる本なので、その一例として読むのは良いと思う。

ちなみに、私は一部共感できるところもあったなあ、、、と付け加えるかな笑