【読書録】教養として学んでおきたい能・狂言
この本を読んだきっかけ
先日読んだ世阿弥『風姿花伝』があまりにも素敵な本だったので、この本で語られていた能について勉強したくなった。
テクノロジーとはすばらしいもので、私が『風姿花伝』を読んだことを察してか、以下の本をサジェストしてくれた。
文字が大きくて、写真がある本というのは、その分野に明るくない人にもやさしく読める本であることが多い(私調べ)という直感から、さっそく読んでみた。
概要
能や狂言に詳しくない人でも、どこが楽しみポイントなのかを解説してくれる。
正直、詳しくない分野の歴史や流派を最初から説明されてもよくわからないので、ざっくり基本用語や登場人物(役回りなど)を説明してもらったら、さっそく面白そうな演目の話をききたいところ。
本書では、能舞台についての簡単な説明と、大まかな演目のジャンル分類を説明した後、さっそく面白そうな演目の説明をしてくれる。説明を聞きながら、能(と狂言)を鑑賞する際、どこに注目すればいいのかOJT形式(本読んでいるだけだけど)で学べるので、飽きずに理解を深められる。
感想:想像力が能を楽しむ重要なポイント
想像力は、言葉少なく、小道具やしぐさでものやできごとを表現する能においてはとても重要だということが一番の学びだった。
むしろ、伝統芸能はきまったやりかたや解釈があるので、個人が想像力を働かせて自由なイメージを持つのはよろしくないのかなと勝手に思ってたので、意外な視点だった。
現代では、プロジェクションマッピングやドローン、VRを使って、その場にないのにまるであるかのようなものを見たり、楽しめたりするが
古典芸能の能楽はそれらに頼らない。そうした最先端の科学技術を生み出した「人間の英知」に頼る。すなわち「想像力」だ。
(略)
想像しない限り舞台からはなにも教えてくれない。能役者と観客が共同作業をしてゆくことで、実は作品を一緒に作っていく、能を心から楽しむことになるのだ。
想像力なしには、緊迫感や登場人物の感動、恐怖などを感じとることができず、心から能を楽しむことができないようだ。
初心者では、背景知識なしにどこまで想像力を働かせることができるのか、若干不安もあるが、もし鑑賞する機会があれば、思いっきり想像力を働かせたいと思う。
ちなみに、予習については筆者は以下の様にコメントしているので、あまり肩ひじ張らずに、ざっくり内容を斜め読みする程度でよさそう。このくらいの気軽い予習で見られるのはうれしい。
ただしメモしたりコピペを持参しないほうがいい。ざっと読んで忘れてしまうこと。ぼんやりわかって見るのが、わたしの一番のおすすめ鑑賞法だ。
(略)
ぼんやり大枠知識で舞台に集中すること。これが、おおいに想像力を活性化させるのだ。
結び
能をテレビやポスターでみたとき、あの何もない舞台(素人観丸出し発言)で何を表現しているのだろうと疑問に思っていたのだが、それは私が想像力を働かせずに、ただ舞台を見ていただけだったからなのだろうと反省した。
この本を読んで、おもしろそうな作品をいくつか知ることができたので、機会があれば、(ある程度の予習はしつつも)想像力を働かせつつ、能や狂言を鑑賞したいと思う。というか、早速鑑賞に行きたい気分。
世阿弥『風姿花伝』を読み、能に興味を持ったので読んでみた。能は、人間の叡智「想像力」を使って見るものだというのは面白い考え方だった。機会があれば、ぜひ能と狂言を見に行きたい。
— oak (@83greentea) 2021年8月27日
教養として学んでおきたい能・狂言/ 葛西聖司 #読書メーター https://t.co/LemSjqigRZ