読書録~看書便條~

読書録ブログです。小説、趣味、仕事の本などいろいろ。Kindle Unlimitedにお世話になっています。

情報セキュリティマネジメント試験受験記

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9月にITパスポートを受験し、合格した後、次のステップとして情報セキュリティマネジメント試験を紹介された。試験の概要は試験の主催であるIPAのHPをご覧いただければと思う。ざっくりいうと、情報セキュリティマネジメントを担う人材の育成を目的に実施されている試験である。マネジメントの部分に焦点が当たっているので、試験範囲はプログラミングよりも、情報セキュリティに対する脅威や対策法、関連する法律に重点が置かれている。

さて、今般、この情報セキュリティマネジメント試験を受験したので、その受験記を書いてみた。受験を検討されている方の(反面教師的な部分も含め)参考になれば幸いである。

受験を決めた経緯

この試験の存在と位置づけを知ったのは、ITパスポートの合格証が届いた時だった。以下の記事にも書いているが、次なるステップとして情報セキュリティマネジメント試験の紹介フライヤーが送られてきた。

mang2guo3.hatenablog.com

正直、プログラミングに寄った試験だったら受験しなくていいかと思ったのだが、内容がマネジメント寄りだったこともあり、仕事に役立ちそうな印象を受けた。ただ、そこですぐ受験申込とはならず、2週間ほど迷うことになる。

迷った理由は、試験までの準備時間が足りるか、自信がなかったからだった。そもそも、この案内が届いたのが受験期間最終日の約40日前だった*1

前回、ITパスポートは実質11日で受験をしたが、参考書をすべて読み終えることができなかった(というか、普通そんな無茶な受験はしない)。情報セキュリティマネジメント試験は一段階上の試験となるため、最低でも1か月は準備期間がほしいと思った。

ただ、試験までの週末(4回)のうち3回は予定が埋まっており、まとまった勉強時間の確保がやや難しそうに思われた。そのため、十分な準備をして受験ができるか、自分のスケジュール(と根性)とにらめっこした。

それから10日ほど悩んだタイミングで、ふと友人に「2021年やり残したことはないか」と聞かれた。ここで、私は受けたい試験があるが準備がやや不安で、やるかやらないかの段階で迷っていることを話した。おそらく、この話は友人の記憶には残っていないと思うが、自分にとっては、やりたいけどやっていないことがあると他人に伝えてしまったことになったため、「やりたいと言ったのに、やらなかったら、かっこ悪いな」と思い、受験を決めた。

目標は人に伝えると叶うとか言うが、自分の場合は、変にプライドが高いところがあるので、言ったからにはやらねばという謎のポリシーで目標に向けて走り出してしまった。プライドは、使いようによっては邪魔だが、こういう時にはなぞのエネルギーを生み出してくれるので、悪いもんでもない。

試験勉強

申し込みの段階で、受験日まで残り3週間ほどとなっていた。

情報セキュリティマネジメント試験は、午前試験と午後試験に分かれており、午後についてはITパスポートでは出題されなかった形式(長文のケース問題を読んで選択式で回答)が登場する。そのため、①午前対策としての知識詰込みと、②①で詰め込んだ知識の実践を想定した勉強が必要だった。

ただ、午後試験については特殊なのは出題形式であって、①の午前試験で出題される内容が理解できていなければ形式になれたところで回答できない。そこで、午前試験対策を優先的に行うことにした。

午前試験を優先的に対策

まずは実力把握ということで過去問を解いてみて得点率を確認した。合格点は、午前・午後ともに60点なので、初回腕試しにしては悪くない成績。ITパスポートでしっかり勉強した分野の出題比率が高いことも背景にあると考えられた。

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初回腕試しの結果。

ただ、出題比率の高いテクノロジ系の得点率が低いため、ここは要対策という印象。この分野はテキスト過去問演習で実力を固めることにした。

テキストは株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月『徹底攻略 情報セキュリティマネジメント教科書 令和3年度』を使用した*2。末尾に午後試験の対策ページも含まれているので便利だった。

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51BMC8w4m1L._SX350_BO1,204,203,200_.jpg

また、ITパスポートの際と同様、過去問道場も使用した。

www.sg-siken.com

これらのテキストと過去問で、毎日少しずつ勉強…というのが当初の計画だったが、生憎途中で仕事が忙しくなり平日は1時間勉強できるかできないかという状況になってしまった。そのため、テキストを使用した勉強の進捗が予定以上に悪くなり、結果的にはざっと教科書を読む→過去問演習を繰り替えす、という感じで演習の割合多めの勉強になった。

さらに、午前試験の対策で手いっぱいになってしまったため、午後試験の対策については当日の午前試験終了後2時間で解説確認+演習(大問2つ)をやって挑むという暴挙に出てしまった。結果的に、午前対策でそれなりにしっかり知識をいれていたので回答はできたものの、試験形式になれるという意味ではもう少し時間を割くべきだったと反省している。

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問題演習ノート。このノートは試験前に見返したりもしなかったのだが、いったん文字に起こして書くと内容が頭に入るので、誤答した問題の解説を記載している。

速報結果

正式な結果はまだ出ていないものの、速報結果(受験後3時間もしないうちにメールで通知される)によると午前試験が7割、午後試験が8割強とれていた。午後試験については点数ではなく、単純な正解問題の割合のようなので、実際の得点は前後する可能性が高い点に留意が必要だ。

ただ、午前・午後試験のどちらも7割は超えていることから、おそらく合格できたのでは、と思っている。結果は年明けに届くようなので、期待したい。

*1:情報セキュリティマネジメント試験はパスポートと異なり、受験期間が限られている。詳細は、HP参照。

*2:2022年4月からシラバスが変更になるのに合わせ、すでに令和4年版が発売されている。

買ってよかった2021

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今回の記事のテーマは「買ってよかった2021」。はてなブログさんからご提案頂いたテーマである。
ここで、自分の買い物履歴を思い出してみたが、財・サービス含めて考えると2021年もいろいろなものや経験を手に入れたとしみじみ思う。

このテーマを考えるにあたり、まずは2021年の振り返りを行った後、満足度が高かった買い物エピソードを挙げてみよと思う(前段不要な方は目次からすっとばして読んでください)。

2021年を振り返る

2021年も新型コロナの影響が続いた。新型コロナ以前は、海外(台湾)旅行にお金と時間を費やしていたが、まだまだ元の生活には戻っていない。

そんなわけで、まず余暇の使い方が変わり、続いてお金の使い方が大きく変わった。具体的な余暇の変化をあげると、
①旅行以外の趣味を見つけた
②勉強に力を入れた
という2つの変化がある。

旅行以外の趣味発見

①については、2020年に引き続き読書に時間を割いていることが多い(ちなみに読書録はいかの記事にまとめているので、ご興味あればぜひのぞいていただけると嬉しい)。

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それから、2021年に新しく始めたこととして、ホットヨガがある。もともとヨガはやってみたかったのだが、通っている整体の先生の勧めや、夏に体調を崩して体力が落ちたのでそのリハビリも兼ねて何等か運動をしようと思ったことがきっかけとなり始めてみた。
これまでダンスをやっていた自分からすると、ヨガって楽じゃない?という印象が当初はあったのだが、初めて見ると奥深く、ポーズによってはめちゃめちゃ苦しいいい運動になる。

暇なので勉強した

②については、2020年以前からやっていた英会話と中国語に加え、資格試験の勉強に励んだ。具体的に言うと、ITパスポートと、情報セキュリティマネジメント試験というものに挑戦した。仕事に(ちょっと)活きるのと、好きなYoutuberさんが挑戦していたので自分も勉強してみようと思ったことがきっかけだった。

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語学の検定試験はこれまで何度も受けていたが、こういった語彙力以外の知識を問う検定というのはこれまで受けていなかったので、勉強方法の試行錯誤も含め、新鮮な気分で挑戦できたと思う。

満足度の高かった買い物 in 2021

さて、前置きが長くなったが、ここからいよいよ本題。上述の①②をふまえると、満足度の高かった買い物は以下の通りになるが、そのうち2021年に購入したものは赤字の2つである。

  • Kindle
  • 語学レッスン(英文、中文)
  • iPad
  • ヨガレッスン
  • 資格試験のテキスト

※ニッチな話になるが、今回のテーマは「買ってよかった2021」であり、購入したのが財かサービスか(かみ砕いていうと、有形か無形か)は問われていない。ということで、サービスの購入も含めて振り返った。こういうところ突っ込む人日ないとは思うものの、こういうことつい考えちゃう(職業病)。

勉強の手助けになったiPad

2021年に買ってよかったとまっさきに思い出したのはiPadだった。iPadは、語学、資格試験の勉強の際、何冊もノートを持ち歩かずともメモが取れ、過去の記録も確認できるので非常に重宝した。

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資格試験勉強用のメモ。お出かけ先で、隙間時間にKinde+iPadで勉強した。過去のメモも振り返れるので、ノートを持ち歩かなくてもよく、便利。

私は、本を読むだけでは知識が頭に入らず、手を動かしてインプット+問題演習でアウトプットしないと覚えることができないらしい。そこで、これまで(大学受験とか)では紙のノートを使っていたのだが、紙はかさばるし、あとから書き込みをしたいときに、スペースが足りず、書き直しに時間がかかってしまうことがある。

iPadであれば(そのためのアプリを入れる必要があるが)その編集も簡単にできるので、私のようなメモ魔(しかも後書きもするタイプ)にお勧めだ。

ちなみに、iPadを使った勉強方法は以下の動画を参考に考えた。この動画でも紹介されているGoodnotesは勉強のお供に良い。

www.youtube.com

また、語学についてはテキストを紙に印刷する手間がなくなり、教科書をデータ化して直接上書きできるようになった(=教科書の配布にメモが一元化される)のも良いと感じた。

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テキストに直接上書き。ページが拡大できるので、作文でややスペース足りなくても書き込めるのがありがたい。

余談だが、新型コロナによる半導体不足でiPhoneを減産するというニュースがあった。iPadも影響があったようで、購入に行った際、今日商品を持ち帰りたいとなると在庫が一部内為色が限られると告げられた。半導体不足の影響を体験する貴重な経験となった。

精神安定剤になったヨガ

もうひとつ、買ってよかったサービスとしては、冒頭にも紹介した、ヨガがある。もともとやってみたかったことや、整体の先生のおすすめ(体が硬すぎるのでどうにかした方がいいという指摘)もあり、体験レッスン→即決で始めた。

ヨガの利点としては、体が柔らかくなって怪我をしにくくなるとか、体力がつくので健康に良いなどいろいろあるが、私はそれに加えて、嫌なこともすべて忘れて何かに集中できる時間を設けられるようになったことが良かったと思っている。

まず、大前提として、ヨガはマラソン等のような分かりやすく息が上がるスポーツではない(むしろ、呼吸を穏やかに、曲に合わせて取る)。だからといって、簡単かというと、そうではなく、体力と筋力と柔軟性、さらには集中力も必要になり、意外と奥が深い。難しいポーズは集中力がないとできないため、ヨガをやっているとポーズや自分の体のこと以外を考える余裕がなくなる。そのため、ヨガをしている間は仕事やプライベートであった嫌なことも、解決していなくてぐるぐる考えてしまう悩み事も、いったん忘れることができる。

↓ 体が硬すぎていまだにうまくできないポーズ。これやっている間はひたすらバランスをとることしか考えていない。

yogajournal.jp

2021年の中でも、11月は仕事で嫌なことが特に多かった時期だった。嫌なことがあると泣きそうになるか、ブチ切れそうになるかのどちらかの状態になるため、それをこらえ続けた退勤直後の機嫌は最悪だった。そんなとき、定時で退勤して即行ヨガスタジオに行き、心地よい音楽を聴きながヨガをすると、仕事のことが頭から離れ、ささくれ立っていた自分の心にもうるおいがもどった気がした。少なくとも、涙が出たり、イラついて何かにあたってしまう、ということはなくなった。

ヨガによって、肩こり改善や安眠という効果もあったが、それ以上に、気持ちを落ち着けてくれるという効果があったことに感動した。結構いいお値段する買い物だったのだが、体と心のために、続けられるうちは続けたいと思う。

おわりに

2021年は、海外旅行は困難だったものの、iPadによって勉強がはかどり、ヨガによってフィジカル・メンタルともに安定したりと、ポジティブな出来事があった。新型コロナの収束は見えていないものの、この状況だからこそ見つけた趣味や、それによって得た気付きもあり、なんだかんだ充実した年になったのではと思う。

2022年は、趣味の台湾旅行も復活することを願いつつ、語学with iPadとヨガで、語彙力、体力、メンタルの安定性を高めていきたい。

ITパスポート受験記④(合格発表と、次の挑戦へ)

9月に受験したパスポートの合否が届いた。9月期の試験結果は10月半ばにWEB公表され、11月半ばに証書が郵送されるという。

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合格発表

速報レポで、高確率での合格を予想していたが、見事合格だった(嬉しい~!)。

ちなみに、合否発表当日は出先でサイトを見ようとしたのだが、スマホ体と画面が文字化けしてみることができず、帰宅してからブラウザで確認した。

また、合格を確認してから1か月後に証書が届いた。国家資格はこれまで普通自動車運転免許しか持っていなかったので、これが記念すべき2つ目の資格となる。

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忘れたころに届いた、合格証書

次の挑戦へ

さて、合格証書と共に、さらなる高みを目指さないか?といういお誘いもいただいた。それは、情報セキュリティマネジメント試験である。

パスポートがITを活用するすべての人が最低限知っておくべき知識を、広く浅く(と言っても素人にしてみれば「これで浅いの…?」と思うかも)問うのに対し、情報セキュリティマネジメント試験では、情報セキュリティ確保ができる(マネジメントできる)人材を育成するための試験であり、技術系の内容よりはマネジメントに焦点を当てた試験であるという。

www.jitec.ipa.go.jp

ITパスポートと異なり、随時試験が受けられるわけではない(受験可能期間内であれば可)なようで、知ったのが遅かったか、正直受験しようか迷う日程。

今回受けるか、次回受けるか、シラバスが変わるかもしれないので引き続き悩み中だが、ITパスポート試験の貯金(お金ではなく知識的な意味)があるうちにやってみたい気もする。乞うご期待ください。

ちなみに、ITパスポート受験までの経緯はこちら。

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【つぶやき】最近あったちょっといいこと

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今週のはてなブログのお題は、「最近あったちょっといいこと」らしい。
ここ1週間で嬉しかったこと、大笑いしたこと、楽しいと感じたことはそこそこあるのだが、「ちょっといいこと」と言われると、意外と思い浮かばない。

「ちょっといいこと」は、めちゃめちゃ嬉しかったことや、日記にそれをその日のハイライトとして書くほどではないけど、記憶には残っている「いいこと」だと個人的に思っている。だから、例えばスケジュール帳を見たり、卓上カレンダーを見ても思い出せるとは限らない。だいたい、スケジュール帳に書いてある予定というのは、その日のハイライトになるような予定がほとんどで、ささやかないいことというのは実はメインイベントと関係なく発生していたりする。

ということで、まずは直近1週間で自分が何をしたかをジャーナリングアプリを見て思い出すことにした(ジャーナリングアプリは、出来事+気分が記憶できるので便利)。
すると、ひとつ、おもしろい投稿が見つかった。

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n年の時を経てハッチポッチステーションのすごさを思い知ったとのこと。

ヨガの件は、個人的には「ちょっといいこと」どころではなく「とても嬉しかったこと」なのでここではスルー。注目すべきはハッチポッチステーションの方。

先日「おげんさんといっしょ」でハッチポッチステーションが放送されたということをTwitterで知り、n年ぶりに動画を見たくなってYoutube検索をかけた。幼少期に(あまり理解せず)見ていたハッチポッチステーションだったが、n年の時を経て、その面白ポイントを再発見し、爆笑したのだった。

www6.nhk.or.jp

明確に記憶に残っているのは、犬のおまわりさん、KISSA、やぎさんゆうびん。有名な洋楽を原曲より先にパロディを通じて知ってしまったため、割と最近まで原曲の正しい歌詞を知らなかった...というくらい強烈に印象に残っている。

www.youtube.com

さて、本題の「ちょっといいこと」であるが、この動画を見て笑ったことが「ちょっといいこと」だった…わけではない。

リアルタイムでハッチポッチステーションを視聴していたあの時代からn年たち、このパロディの動画もすでに知るようになった私は、久しぶりに検索したこの動画を見てやっと、なぜ幼少期に両親がこの番組を見て笑っていたのかを理解できた(パロディと歌のクオリティが高い)。

結論から言えば、Youtubeのコメントにもあるが、私はおそらくパロディを見て面白がっていたのではなく、両親が一緒にテレビを見てくれて、しかも笑ってくれていることに嬉しさを感じていたのだと思う。

当時、私はこのパロディ(当時はパロディということに気付いてすらいなかった)の面白さは全く分からず、普段聞く童謡が、聞きなれない音楽に合わせて演奏されているのが不思議だなと思っていた。でも、ハッチポッチステーションは私にとっては見ていると楽しい気分になる番組だった。それは、両親と一緒に楽しんでテレビを見る(=楽しい)時間を過ごせていたからだと思う。特に、父親がはまっていた。

▼記憶の限りでは、父が最も爆笑していたDancing Queen(単身赴任)

www.youtube.com

既に父は他界してしまっているため、いま改めてこの動画を見せることはできないし、このパロディのすごさを親子で共有することもできない。ただ、この動画を見て、両親と一緒に楽しんでハッチポッチステーションを見ていた記憶を思い出し、爆笑しつつもハッピーな気持ちになったのは、私にとって「ちょっといいこと」だと思う。

ハッチポッチステーションはすでに放送終了しているが、もし家族ができたときに、こんな風に親子で楽しめる教育番組があったら、とっても嬉しいし、この類の「ちょっといいこと」が数十年のサイクルで続いていくのでは...と妄想してしまった。

2021年11月の読書録

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ついに2021年の秋もおわり、師走に突入。1年たつのが早すぎる。

11月は新型コロナの感染者数が、国内については低水準が続いていたこともあり、だいぶ生活がビフォアコロナに近づいてきた感覚。そのため、幸か不幸か、在宅勤務の日数も減らされ、通勤時間を活用した読書タイムが増加した(ただ、時間は増えても体力はそがれたので読書量は増えたわけではない)。

今月の読書状況と所感

11月の読書メーター
読んだ本の数:11
読んだページ数:2925
ナイス数:50

所感としては、通勤時間など読書できそうな時間はあったものの、意外と読んだ冊数は少な目だった印象。また、読んだ本のラインナップをみると、仕事目的で読んだものはほぼ皆無であり、むしろ仕事のことを忘れるための読書だったといっても過言ではない。今月はあまり気乗りしない業務が続き、読書や軽い運動が精神安定剤となっていた。

今月の読書メモ一覧

愛の論理学 (角川新書)愛の論理学 (角川新書)感想
愛について他面的に見たお話。名誉殺人や国境なき医師団などの活動、さらには新生児の延命措置(児童以上に親の意向なしには治療ができない状況)、ペットの避妊手術など…タイトルから予想つかないくらい多くの視点から、さまざまな愛の形を考えさせられた。恋の麻薬作用が切れた瞬間から本当の愛がスタートするとか、その延長で「愛は意志によるものである」とか(だから境界で夫婦は愛を「自ら誓う」のかあ…など)、この本読んでやっとこ意味がわかったなという感じ。
読了日:11月27日 著者:高橋 昌一郎


みちのく民話まんだら―民話のなかの女たちみちのく民話まんだら―民話のなかの女たち感想
姥捨山、鯉嫁さん、屁ったれ嫁さんが個人的には面白かったなあ〜。みちのくと言いつつ、どこかで聞いたことのある話の〇〇バージョンみたいな話も結構あって、みちのく(いまの東北地方の一部)だとこう語られるのかあと思った。たぶん展開や出てくる動物は違っても、示唆するものは近いのかな?時間軸は色々で、かなり昔かなと思うものもあれば比較的最近(といっても戦時中)のものもあった。
読了日:11月26日 著者:小野 和子


街場のメディア論 (光文社新書)街場のメディア論 (光文社新書)感想
昨今のメディアに対するモヤモヤの根源はどこなのか…ということが少しクリアになるとともに、実はメディアという名前を冠していないだけでメディアとおんなじことを我々も私生活でやらかしているのではと反省させられる。個人的には、本棚にそこまで意味付けしなくてもいいかなとは思った。このアプリ然り、電子であっても本棚はあって、自分が読んだ本や読もうとしている本を他人に見せることはできるわけで笑。
読了日:11月22日 著者:内田 樹


生理用品の社会史 (角川ソフィア文庫)生理用品の社会史 (角川ソフィア文庫)感想
生理用品を使っている人が読んでも「そうなのか!」と思う本。個人的には前半の戦前〜紙ナプキンの誕生までの部分がとても興味深かった。法律とか会社の制度はもちろんだが、女性の社会進出に生理用品は欠かせない。また、経血や月経に過剰な意味づけは必要か?と言う観点が新鮮だった。自分は布ナプキン使ったことがないので議論に参加する資格はないが、筆者が指摘する通り、布と紙を二項対立にする必要はなく、各自が体調や経血量、活動に合ったものを使うのがベストであり、そのための十分な選択肢が用意されることこそ大事なのでは、と思う。
読了日:11月21日 著者:田中 ひかる

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怪談 (光文社古典新訳文庫)怪談 (光文社古典新訳文庫)感想
耳なし芳一や雪女は漫画とか、小泉八雲集か何かでも読んだことがあったけれど、虫についてのエッセイは初めて読んだ。蝶と蟻を、そんなふうに見たことなかったなあ。言われてみると蟻の社会は無駄がないのかもしれない…。リソースと投資先の「選択と集中」が行われ、大量の労働者(雌蟻)がせっせとリソースを集め、雄蟻は子孫さえ残せればその後はすぐ死んでしまう…悪くないかもしれないけど人間社会に慣れた自分にとってはすんなりは受け入れられない、ちょっと怖い社会だなと思った。読了日:11月21日 著者:ラフカディオ ハーン


寝ながら学べる構造主義 (文春新書)寝ながら学べる構造主義 (文春新書)感想
最初は「うーん🙄」って感じだったけど読み進めるにつれこの本がいかに難解な原点の要点を噛み砕いて説明してくれているかがわかった。私たちは自らいろいろなことを創造したり表現したりしているようで、結局母国語の枠組みの中でしか実は行動していない、運命とはまた別に「なるべくしてそうなっている」状態や行動があると言うことが理解できた。レヴィストロースの研究は、ちょうど文人の知り合いが多いのでよく聞くのだけど、彼女たちはこういうことを勉強していたのかあ…と遅ればせながら理解して尊敬した。
読了日:11月17日 著者:内田 樹

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化物蠟燭化物蠟燭感想
秋の夜長に読むのにぴったり。端的に言うと「世にも奇妙な物語」お江戸版みたいな感じなのだが、オチも様々でどれも読んでいて飽きない。怪談とはまた違う、怖いだけでは終わらないお話たち。「幼なじみ」はゾッとするポイントが分からなかったけど、それ以外は「そう言う展開か〜!」とか、ちょっとほっこりする話とかあって、おもしろかった。
読了日:11月12日 著者:木内 昇

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「がんになって良かった」と言いたい「がんになって良かった」と言いたい感想
Twitterとブログを拝見していたので、後半の内容は既に知っている物だったけど、最初に病気になってから、白血病を発症し、その後再発と移植を繰り返していたことはきちんと理解できておらず、自分が筆者の立場だったら耐えられないかもしれない…と思いながら読んだ。シャープな物言いをする方ゆえにアンチも多かったようだけれども(あと、報道の仕方とかも一因)、それはきっと筆者が所謂「病人」ぽくなくバイタリティとユーモア溢れる人だったからなんじゃないかなあと個人的に思っている。安らかにお眠りください。
読了日:11月06日 著者:山口雄也+木内岳志

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怠けてるのではなく、充電中です。 昨日も今日も無気力なあなたのための心の充電法怠けてるのではなく、充電中です。 昨日も今日も無気力なあなたのための心の充電法感想
親友のうち一人がまさにこの本に書いてあるような人で(社交的でおうちにいる時間は短いのだけど、鬱の経験があって気分の波が激しい)彼女はこんなこと考えているのかなあと思いながら読んだ。自分も落ち込んだりすることはあるのだけど、メンタルよりは体にくるタイプなので、この本にあるような落ち込みとかってなかなか感じたことなかったなあ…。勉強になった。
読了日:11月04日 著者:ダンシングスネイル


台湾とは何か (ちくま新書)台湾とは何か (ちくま新書)感想
台湾だけでなく「中華民国」という今日では虚構でありながらも両岸関係を現状維持するために使われている概念についても説明している本。台湾人のアイデンテティと、国家としては台湾は何であるか、さらには両岸関係は現実どうしたいかという問題は、相互に深く関わるが「台湾人なら台湾であり独立希望…」と単純には整理できない。複数の問題がパラレルに存在しているのが台湾のアイデンテティ問題であり、おそらく表面的な日台交流だけでは理解が及ばない部分。この点含めて台湾とは何か、日本人としての見方も含めつつ整理していてわかりやすい。
読了日:11月03日 著者:野嶋 剛


今日は、自分を甘やかす いつもの毎日をちょっと愛せるようになる48のコツ今日は、自分を甘やかす いつもの毎日をちょっと愛せるようになる48のコツ感想
パワーストーンの話が面白かった。パワーストーン(石じゃなくてもいい、お守りとか、ラッキーアイテムとか)に本当に力があるかどうかは別としても、それをみたときに、それを手に入れた時の自分の決意とか気持ちとか目標が思い出されることによって、「ああ、自分これを頑張ろうって思ってたんだ」とか「これが欲しいんだ」って再認識できることが大切なんだと。ラッキーアイテムは、幸運を連れてきてくれるのではなく、なりたい自分を想起させてくれてくれるものであり、自分を幸運な方向に向き合わせてくれるものなのかもしれない。
読了日:11月01日 著者:夏生 さえり

読書メーター

【つぶやき】身も心も温まる、布団

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はてなブログ今週のお題は「あったか~い」だそう。
あえて説明する必要もないが、あったか~い(正式には、あたたかい)の定義は以下のとおり(by google先生)。

あたたか‐い
【暖かい・温かい】
《形》
  1. 1.
    物の温度や気温が、快い程度に高い。
     「―料理」
  2. 2.
    ひえびえとした感じを与えない。

さて、この時期にあったか~いと聞いて私が真っ先にイメージしたのは、布団である。

布団はあったか~い上に、肌触りもここちよい。布団に潜り込むと、直前までをPCをいじっていたとしても一瞬でお休みモードがONになり、知能が低下してリラックスできてしまう。ピリついた神経も落ち着かせてくれるし、嫌なことは布団の温かみに溶かして忘れようとさえ思える。世界中の大地が布団になったら戦争なんかなくなるんじゃないか…

そんな幸せ溢れる布団だが、朝それに別れを告げるのはとんだ地獄である。第一に、布団の外は、寒い。最近ますます朝の冷え込みが厳しくなり、布団から出るのが難しくなりつつある。

第二に、布団から出たら、動き出さなければならない、人間としての義務(勤労、納税、教育)を果たさなくてはならない。布団の外には冷たい空気があるだけでなく、冷たい人や、冷たい視線もある。昨今は、肉体的にも精神的にも布団の外は寒い世界である気がする。

布団の中に世界があれば、こんなしんどい思いしなくていいのでは…

…こんな思いをつづった歌もあるくらいである。

www.youtube.com

 

こんなことを書いていたら、もう就寝の時間になってしまった。
明日は布団の外にもあたたかい世界がくることを祈って、眠りにつく。晩安。

【読書録】生理用品の社会史

女性の社会進出における縁の下の力持ちと言っても過言ではない、生理用品
ナプキン、タンポン、月経カップなど、様々なものがあるが、自分にあったものを利用できることは、月経日も普段と近い生活をおくる助けになる。

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現代の日本では、そういった生理用品は比較的安価で手に入るものとなった(もちろん、生理の貧困のような問題は未だに残っているが)。
しかし、何百年も前の、プラスチックなどなかった時代、女性はどうやって生理を乗り切り、生きていたのか。そんな疑問への回答と、日本における生理用品の普及と改良、さらには女性への視線の変化などについて解説、考察している本を読んだ。

bookmeter.com

戦前の日本ではタンポン派が多数だった

まず、最も驚いたことが、日本では、戦前、タンポン式が多数派だったということだ。
私は実はタンポンを使ったことがない。また、周りの友人を見てもタンポンよりもナプキンを使用している人の方が多い印象を受ける。例えば、友人間で生理になってしまったときに「ねえ、ちょっとナプキン1枚くれない?」ということはあってもタンポンを受け渡しすることはない。

ウーマンリサーチが2021年に全国のWEB会員を対象に実施したアンケート調査によると

回答者668人中、生理用ナプキンの利用経験は97.8%となりました。他の生理用品については「タンポン」57.9%、「布ナプキン」12.3%という結果に(複数回答)。

とのとで、数字で見てもナプキンの使用率の方が高いようだ。だからこそ、以前はタンポン式が多数派だったことには驚きを隠せなかった。

ただ、当時のタンポン式生理用品は使用後にうまく処理ができないことなどを原因に、別の病気を引き超す可能性もあったことから、戦後、ナプキンにシェアを譲り渡すことになったよう。

生理中の女性に対する差別と女性内格差

生理中の女性は穢れであるとして、その期間だけ隔離したり、不潔なものとして蔑むような動きがあったことは知っている人も多いと思う。この本でもその点について触れられていたが、まあひどい…。

生理中の女性を休ませるための隔離だったという弁解もあるようだが、そのくせに炊事などはさせるという状況だったようなので、それは後付けの即席でこしらえた理由でしかないように思う。

想像つかない人は、小山健さんの『生理ちゃん』の5を読むことから始めよう。

omocoro.jp

それから、女性の間でも身分や環境によって生理中の生活に大きく差があったように思われた。例えば、上流階級の女性向けの雑誌に「生理中やってはいけないことリスト」みたいなものが提示されていたようなのだが、刺激物(酒、コーヒー)をとったり、激しい運動(ダンス、乗馬)をしてはいけないというようなことが記載されていた。

まあ、たしかに趣旨は間違っていないのだが、やや世間離れしたリストである感が否めない。そもそも(今の自分もそうだけど)ダンスとか乗馬なんてできる経済的・時間的余裕なぞないので、こんなリスト見せられても「ハア?」としか思えない。このリストはあくまで上流階級の、生理中に必要な対応を躊躇なくとれる女性向けに書かれたものだからだ。逆に、一般の女性は生理中だろうが、生理前の体調不良期だろうが、働かざるを得なかった。

生理中は一切の無理をせずにいられる女性と、生理中を理由に休むことができない女性がいたようだ。これは、現代にも残る問題ではあるかもしれないが、本書で記載されている、ナプキン普及以前の日本ではこの格差がより顕著だった印象を受けた。

医療の進歩と富国強兵が生理への見方を変えた

生理中の女性は穢れとして差別を受けたわけだが、戦時になるとその考えが徐々にかわっていく。戦時は健康な子供を産むことがよいとされ、医学の進歩も相まって、生理への理解が進んだ(実際、栄養失調などになると生理はとまり、妊娠も難しくなる)。

富国強兵と生理がリンクるものだとは思っていなかったので、正直驚いた。

生理に特別な意味付けは必要か

本書の後半では、日本における生理用品の普及について説明されているが、これはすでに知っている内容だったので、感想は割愛。知らない人は、本書または『生理ちゃん』を読もう。

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ちなみに、この漫画で紹介されている「アンネナプキン」は、現在は市場シェアを失ってしまったのだが、日本における生理用品の普及と女性の社会進出を支えたという点においては非常に意義があるもの、と指摘されている。

なお、冒頭日本ではナプキンが多数派であると触れたが、ナプキンはゴミになってしまうという観点から、布ナプキン(洗って何度も使える)などの利用を薦める意見もあるという。布ナプキンについては、経血を自ら洗うことで生理に向き合うことができるといった意味付けもあるようだ。
筆者はサステイナビリティという観点からの布ナプキンは否定しないものの、生理用品や生理そのものに過度な意味付けやイデオロギーを与えることについては警鐘を鳴らしている。

私自身も、生理に過度に意味付けをする必要はなく、環境や人体に配慮しつつも、必要な人が、必要な時に、自分の状況(経血量、その日の運動量など)にあわせてベストな生理用品を選べることが最も重要なのではと思う。出血が多ければタンポンとナプキンを併用してもいいし、寒い日には布ナプキンを使ってもいいかもしれない。

まとめ

女性でも知らない、生理の歴史や、先人の葛藤が理解できる本だった。社会の変容に伴って生理への見方が変わったこともあれば、アンネナプキンのように、生理用品が女性の生き方を含む社会を変えたこともあったのだと学ぶことができた。

男女関係なく読むと良い本だともうけれど、生理(とそのしんどさや、生理中に女性は何に悩んでいるのかなど)を知らない方であれば、『生理ちゃん』で予習してから読むのでもいいかと思う。