読書録~看書便條~

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サボるための小さな積み立て

今週のお題は「サボりたいこと」のようだ。自分に限らず、サボりたいことの1位として仕事を挙げる人は多いのではないかと思う。

私は仕事をサボりたいと思うくらいの人間なので、況や残業をや、という感じで仕事はさっさと終わらせて帰りたいと考える人間だ。そして、そのスタンスで3年ほどある業務を担当してきた。

私の仕事は、内容ではなく作業という観点で説明すると、いろいろ調べものをして、その結果を文章にまとめる、というものになる。ものを調べることにも、それをうまくまとめることにもそれなりの時間がかかる。背景知識があれば、調べる時間は短くなるかもしれないが、仕事上扱う分野が多岐にわたる(というか、聞かれたら基本何でも対応する)ため、対象分野すべての知識を身につけることは定年まで働いても無理だと思う。

そんな業務を始めて担当した時、当然のことながら、背景知識も経験値も皆無だった私は、見事に仕事が進まず、連日残業三昧だった。上司に「早くお帰り、あと消灯よろしくね」と心配されるのもふがいなかった。正直、残業よりも、そういうふうに心配されることによる精神的苦痛(私は仕事が遅いのか…)のほうが嫌だった。

その反省を活かし、残業三昧の日々から解放されたタイミングで、私は「いい感じに仕事をしてサボれる下準備」を始めた。話をキャッチーにするために「サボる」という言い方をしているが、端的に言うと、手元に手ごろな情報源を増やしておく、ということをした。

冒頭、私の仕事は、いろいろ調べものをして、その結果を文章にまとめることだと書いた。そして、「①ものを調べる時間」と「②調べたことをまとめる時間」の2つがかかるということも書いた。このうち、時間のかかりようで言うと①ものを調べる時間のほうが圧倒的に重い。ということで、この部分を少しでも軽くするにはどうしたらよいか、考えた。

結論としては、いつか聞かれそうなことは、知ったときに都度調べてまとめておく、ということをした。なんだ、大したことじゃないじゃないか、と思われるし、作業としては大したことはしていない。ただ、「いつか聞かれそうなこと」が何かを考えて、拾うにはそれなりの経験値とアンテナを必要とする。これを養うのに1年半ほどかかった。

たとえば、毎年または毎四半期ごとに、あるデータをアップデートして解説しなくてはならない。このとき、解説のためには該当期間に何があったか、大きく数字を動かす要因として内があったかを分析する必要がある。しかし、特に年ごとに分析する場合、何年に何があったかなんて逐一覚えていられない。そこで、「要因」になりそうな出来事、分野について大きな動きや目立った出来事を都度調べて、まとめておくのだ。サボるために小さい頑張りを積み立てる、とでも言えばいいだろうか。

こうすることで、たとえば、1年後に「20XX年は○○が激減した。その背景として…」という文章を書かなければならないときに、都度調べてまとめておいた原稿を引っ張り出し、考察すればよい。必ずしも原稿にしていた内容が「…」の部分を埋めてくれるかはわからないが、考察のとっかかりを与えてくれるだけでも作業スピードが変わる

こんな仕事のやり方を身に着け、以降2年間は、当初ほどの残業をせずに仕事をすることができるようになった。空いた時間では、飲みに行ったり、コロナになってからはヨガや読書、料理に時間を費やすようになった。お仕事をさっくり終わらせて、アフターファイブたのしめるなんて、最高じゃん。

なんて思っていたが、そんな姿勢が「余裕」とみなされたのか、それとも調子に乗って有給休暇を頻繁にとったからか、担当3年目になったところで別部署の応援に駆り出されたり、担当変更で新しい(=今までの蓄積が活きないし、前任者の蓄積もあまりない)分野を任せられることになった。人生そんなに甘くなかった。

一旦上げてしまった生活レベルを下げることは、なかなかできないというが、いったんアフターファイブの楽しさを享受してしまうと、それなしの生活を送ることが難しくなる。失われたアフターファイブを取り戻すため、サボりたいと思いながら、今日もコツコツ働くのであった。