【読書録】モモ
時間とは何か、私たちは何のために時間を使っているのか…
という、大人でも答えがぱっとはでてこない「時間」をテーマにした児童文学を読んだ。
児童文学と思って読むと、内容もボリュームも予想を超えてきた。
大人が読むと、時間の使い方や自分たちの姿勢(とくに、いそいそと何かをする行動)を考えさせられるのではと思いつつ、おそらく本当にこの本を読む必要がありそうな人は、この本を手に取って読み切る暇がないとかいうのだろうなあと思った。
この本では、時間を奪う存在として「灰色の男たち」が登場する。ここはファンタジーなので、こういった男たちの姿を「時間を奪うもの」の象徴として描いている。
現実世界に「灰色の男たち」はいないが、彼らのように時間を奪うものは至る所にあって、なんなら自分自身に灰色の男たちとこの世界の住人が共存しているようにも思う。それは、他人と比べての焦燥感だったり、これと言った理由がないのに「みんなそうしているから」、「誰かにやれと言われたから」などなど、モノというより考え方のようなものだったりもする。
効率良く生きれば、その先に幸せはまっているのだっけ、と考えされられる一冊。