読書録~看書便條~

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【読書録】2021年7月

7月は月末仕事が佳境だったため、下旬の読書量が減少したように見える。

厳密に言うと、読んでいる本はあったがページ数が多く、読み切れなかった(来月の読書録で言及予定)。

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今月は、Kindle Unlimitedで森見登美彦さんの作品が読めたので『新釈 走れメロス』と『ペンギン・ハイウェイ』を読んだ。森見登美彦さんの作品はよくレコメンドされるものの、実は意外と実家に作品がないこともあり、ほぼ読んだことがなかった(先月の『夜は短し歩けよ乙女』が初)。

3冊読むと、舞台が変わっても変わらない作者の作風はどこなのか、見えてくる気がした。なんとなくだが、森見さんて女性の描写するのがお好きで、粘度の高い文章を書かれるのかなあと3冊読んで感じた。奇想天外な「ワールド」を展開するという意味では万城目学さんと似ているかもしれないけれど、個人的には作風は全く異なると感じた。

 

7月の読書メーター
読んだ本の数:10
読んだページ数:2613
ナイス数:67

細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)細胞が自分を食べる オートファジーの謎 (PHPサイエンス・ワールド新書)感想
部屋にゴミが溜まると空気が澱むが、それは細胞でも同じらしい。オートファジーは細胞内の老廃物をリサイクルする仕組みで「死ぬほど大事」。また、飢餓状態で生きのびるために活躍する。腫瘍の発生抑制にも貢献するらしい(ただし、発生は抑制するが、発生してしまった腫瘍には増殖の手助けをしてしまうという一面もある)。プチ断食が健康に良いのは、飢餓状態でオートファジーが活性化するためらしく、意外と根拠あるんだなあと思った。ちなみにこれを担うのがリソソーム。生物の授業でそんなに説明なかったけど、大事なものだったんだなあ。
読了日:07月22日 著者:水島 昇

別途読書録あり。

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世界の再生可能エネルギーと電力システム 電力市場編 (NextPublishing)世界の再生可能エネルギーと電力システム 電力市場編 (NextPublishing)感想
速読だけど、FITとFIPの違い、PPAとRE100達成のための手段の図解がわかりやすかった。RE100達成のための自家発電というと、オンサイトを想像しがち(自分もまさにそうだった)けれど、欧米だとオフサイトの方が主流なのか〜
読了日:07月19日 著者:安田 陽


バベル九朔 (角川文庫)バベル九朔 (角川文庫)感想
万城目さんの他の作品と全くテイストは違うものの、世界AとB(しかもBは二層構造)を移動していくというのは十八番の設定だなあと思いつつ読んだ。結局、九朔は「ここにいる」と宣言することで、現実世界には戻らず、もう一つの世界(B)でバベルの管理人になったところで終わる。結局そのまま戻れないのかは作中では語られず、不明。 私はこの話面白いと思ったけど、万城目さんの歴史とか関西絡みの話とか、阿呆な話が好きな人はもしかすると「思ってたんと違う」って感じるかも。逆に、SF好きな人にはおすすめかもしれない。
読了日:07月18日 著者:万城目 学


名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書)名画で読み解く ロマノフ家 12の物語 (光文社新書)感想
皇帝一家を救うと思われたラスプーチンによって、最後は皇帝一家自らが破滅を引き寄せるという皮肉。ラスプーチンの生命力が強すぎて恐ろしい。 因果応報というか、血で血を洗う歴史が繰り返されていることがよくわかり、なんなら今でもその風潮残っているのでは…(選挙のたびに政敵が失脚する現代ロシアよ)と思った。
読了日:07月18日 著者:中野 京子


山怪 山人が語る不思議な話山怪 山人が語る不思議な話感想
主に東北地方の、山にまつわる不思議なお話。夜一人で読むと怖い…。あとがきにもあったが、人は得体の知れないものに対して恐怖を抱くので、その現象に名前をつけて恐怖を軽減した結果、狐に化かされた、狸がやったお話として口伝されたのかもしれない。特に、狐の仕業とされるものが多く、その意味では狐にとってはやや理不尽なのかもと思ったり(ただ、狐でないなら何の仕業?と言われると考えるのが怖い)。ちなみに、狐と狸で人への関与の仕方が違うらしい。それから、秩父の話は、自分もまさに行った神社が出てくるお話で、ぞわっとした。
読了日:07月17日 著者:田中康弘


ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)ペンギン・ハイウェイ (角川文庫)感想
予想と違って国内SFのような話だった。解明したい謎を解いてしまうと、大切なものが消えてしまうというのはもどかしいけど、消えて初めてその問題が繋がっていたことに気づくという難しさがあるなあと思いながら読んだ。完全に偏見だけど、女性の描写を細かくするところは森見さんらしいなと思った笑
読了日:07月17日 著者:森見 登美彦


私の顔はどうしてこうなのか 骨から読み解く日本人のルーツ私の顔はどうしてこうなのか 骨から読み解く日本人のルーツ感想
過去に遡るには骨(と歯)が頼りになるので、それらに注目して日本人やアジア人のルーツを探る。分析の過程で出てきた基準化という手法が面白い。 また、ヒトは未熟な状態で生まれてくるため、大きな目や丸みのある頬などの特徴によって「かわいい」感情を相手に抱かせ、世話をさせるというのは納得。直立二足歩行でも内臓をお腹にキープするには骨盤の穴を小さくしないといけないため、その穴をギリギリ通れる成熟度合いで子供が産まれてくるらしい(そのため、直立二足歩行でない哺乳類のお産はヒトよりも簡単らしい…そうなんだ…)。
読了日:07月15日 著者:溝口 優司


恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 (角川文庫)恋をしよう。夢をみよう。旅にでよう。 (角川文庫)感想
作家さんのエッセイだからか、普段感じていても他人に伝えるのがちょっと難しいものを、面白く言葉に起こしてあって、「同感!」「言われてみるとそう!」と思うことがいっぱいあった。服を松竹梅に分ける話、炬燵を中心とする小宇宙、恋愛模様の渦中にいた?など。私も筆者同様、恋愛や女子同士の派閥争いの渦中にはおらず、卒業後にそれを知った。知った時「なんで私知らなかったの?」と不思議な気分にさせられた。 ちなみに私のプチトラウマは爪切りで、そのトラウマゆえに10年以上、爪切り時は眼鏡をかけることを忘れないようにしている。
読了日:07月08日 著者:角田 光代


新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫)新釈 走れメロス 他四篇 (角川文庫)感想
原作が好きということもあるが「山月記」に出てくる斎藤の苦悩と焦燥、言葉が存在するものなのか自分が生み出したものなのか区別がつかない…というのはちょっと共感できるところもあり、面白かった。「桜の森の満開の下」は原作をまだ読んでいないので、これを気に読んでみようと思った。
読了日:07月07日 著者:森見 登美彦

別途読書録あり。

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美しい「大和言葉」の言いまわし: さりげなく、折り目正しく「こころ」を伝える (知的生きかた文庫)美しい「大和言葉」の言いまわし: さりげなく、折り目正しく「こころ」を伝える (知的生きかた文庫)感想
やわらかな大和言葉を、よくある誤用と共に紹介していて勉強になる。個人的には、大和言葉の意味と用例をリストにしてまとめたページを読むのが良いと思う(本文は、現代言葉を貶めて大和言葉をヨイショしているきらいがあり、読んでいて若干もやもやした)。
読了日:07月04日 著者:日本の「言葉」倶楽部

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