読書録~看書便條~

読書録ブログです。小説、趣味、仕事の本などいろいろ。Kindle Unlimitedにお世話になっています。

I have been immersed in MAKIME world

今年のGWは全く予定がなかった。

チケットを購入していた公演は新型コロナで中止になり、自宅付近の店は軒並み休業。

時間はあるが、どこか遠くに行くのも憚られるので、家にいるよりほかにない、というGWだった。

そこで、普段仕事をしていたらなかなかできない、家でできることをやってやろうと思い、好きな作家さんの本を一気読みすることにした。

 

通常、私は読書を①電車での移動時間、②寝る前の歯磨きタイム、③就寝直前の十数分、のいずれかにすることが多い。

①は数十分とまとまった時間が取れるが、②③については、長くても10分程度の時間しか取れないので、どんどん引き込まれているタイプの小説を読むにはあまり適さないと自分で思っている(そのため、私は同時並行で複数の本を読み、ある本は①、ある本は②③の時間で読む、というような読み方をしている)。

①の時間では、主に小説や、ものすごく興味のある本を読むことが多い。そういう本は、いったん読み始めると途中で止めるのが難しいのだが、自分が目的地に到達した際、強制的に読書が中断される。後ろ髪惹かれながらKindleをオフにするのだが、これくらいの強制力がないと、私は読書をやめることができない。

先日、翌日朝7時に起きねばならなかったところ、前日の22時からとある小説を読み始めてしまい、結局深夜1時までかけて読み終えてしまった、ということがあった。翌日は予定15分遅れで起床し、予定より1本遅い電車に(走って)乗り、予定には間に合ったものの、終日睡魔と戦った。次の日にしんどい思いをするとわかっていても、強制力がないとなかなか読書をやめられないのである(少なくとも、翌日がしんどくなるよ、くらいでは抑止力にならない)。

また、GW以外は、読書時間はあるものの、本を一気読みするようなまとまった時間をとることが難しかった。平日はもちろんだが、大抵土日も何等か予定(外出とは限らない)があって、hour単位のまとまった読書時間を確保できる方が稀だった。

 

GWは(今年に限らず)仕事に行く必要もなかったし、(今年は)出かけるような予定もないので食事と睡眠以外のほぼすべての時間が自由時間になった。自由時間では、電車をを降りる時間に左右されることもなく、満足するまで本を読み続けられる。しかも、特に予定もないので朝から本を読めるし、夜も「明日早いからもう寝なくちゃ!」という焦燥感にかられる必要もない。

そこで、ずっと気になっていたが、なかなか手を付けられなかった、ページ数多めの本を読むことにした。

 

その作家さんの作品は、過去にいくつか読んだことがあり、自分はいったん本を読み始めたら手が止まらなくなる可能性が高いと経験上思っていた。しかも、物語のいろいろなところに伏線がはられているので、読み終えたあとにもう一度初めに戻って読み直す、というようなことをしてしまい、本を一冊読み終えても、読書が終わらないようなところがあった。

また、これはどの小説にも共通なのだが、私はいったんある小説を読み切ると、しばらくその世界観(?)から抜け出せず、考え方や物の捉え方をニュートラルに戻すのに少々時間を要する。そのため、特に世界観が独特な小説を読む場合は、読書後に心のリハビリタイムが必要になる。今回読もうと思っていた作品は、まさに独特な世界観(というか、設定)をもつ話なので、このリハビリタイムが確実に必要と思われた。

これは…もうGWに読むしかない。

そんなわけで、GWは思う存分小説の世界観に浸ることにした。

 

ちなみに、私が好きな作家さんとは、万城目学さんである。今回読んだ本は、読んだ順に以下のとおり。

www.kadokawa.co.jp

www.kinokuniya.co.jp

 

万城目さんの小説は、端的に言うとホラ話全開(褒めてる)という感じで、現実世界と、非現実的な世界が混じったストーリーが展開されていくものが多い。しかし、非現実的といっても「いや、そんなこと起こらんでしょ」と他人ごとに思うようなものではなく、読み終えた後に「ここにもしかしたらあいつ等がいるかも」と読者に思わせてしまうような「ないけどありそうな非現実」が展開される(正直、私の言葉で説明するより、小説を読んだ方が早い)。

そのため、本を読み終えた後もなかなかその世界観から抜け出すのが難しい。というか、抜け出さなくてもいいんじゃね、とさえ思ってしまう。ちなみに、上述の本を読んだ後、私はその世界観から抜け出すどころか、むしろ更なる深みにはまってしまい、万城目さん原作の映画を2本見てしまった。

 

www.shochiku.co.jp

※上述した『ホルモー六景』は、「鴨川ホルモー」の外伝のような位置づけなのだが、小説で書かれない人間模様にも触れられていて、とても面白い。

 

www.asmik-ace.co.jp

 

とにかく、どっぷり「マキメ・ワールド」に浸ってしまった。

しかも、映画を見終わった後、さらに2冊、万城目さんの本を購入してしまうという始末。ハマりすぎにもほどがある(現在読書中)。

GWは終わったが、私がマキメ・ワールドから抜け出せる気配は未だない。